撮り始めて早三年、マイ・フィルム事情

フィルムカメラが楽しい。

休日に持ち運ぶカメラというと、もっぱらフィルムカメラ。

カメラを忘れると、これでもかというくらい落ち込んでブルーになっちゃう。

デジタルではなくフィルムで撮るようになったきっかけは、大学生も残りわずかとなった頃。大好きだった埼玉・草加の地を離れるのが寂しくて、何かに残さなきゃ、という焦りのようなものからだった。

懐かしき草加の松並木

撮り始めて三年経ってスタイルが確立されてきたので、現在の「マイ・フィルム事情」を記録しておこうと思う。

撮影

カメラは専ら叔母から譲り受けたコンパクトフィルムカメラ、Nikon35Tiを使用。

機械オタクにはなれず、手にあるカメラで満足してしまう。

だから私にとっては「カメラを持っている、どのカメラで撮るか」ということよりも写真を「撮る」ことそのものが大事。そりゃあ、プロ使用のカメラでも撮ってみたい気持ちがないわけではないけれども。

フィルムはカメラ屋さんに行く機会があった時やネットで安くなっている時に購入し、それを少しずつ使っている。高級なのには手が出ず、ProImage100やKodak ColorPlus200が多め。

カメラは「お出かけのお供」のような存在になっており、外で撮ることが多いためISO感度低めのフィルムが必然的に多くなっている。

旅ではスマホで撮ることもあるが、これは!という時には積極的にフィルムカメラを使う。風景を撮った際のこのザラザラ感や色の濃淡、奥行きは何にも代えがたい。

季節の花を撮ることは癒しの時間でもある。おそらくこの三年間で最も多く撮った写真は植物の写真であろう。

外で撮ることに少し慣れてきたからか、最近は休日の朝食や毎週飾る花を撮る頻度も増えてきた。

とはいえ、1枚がどうしてももったいなくて、毎日は撮らない。ときめいた時だけ。

現像

現像は、フィルムを手にした時からずっとポパイカメラさん(東京・自由が丘に本店を構える創業88年目になる老舗写真専門店)に出している。

実際のお店にはまだ行ったことがなく、いつも郵送フィルム現像サービスを利用。

LINEで申し込み内容を送ってやり取りできる手軽さと、仕事の丁寧さ、そして仕上がりの雰囲気を細かく指定できるカスタマイズ性が気に入っている。

初めて現像に出す時、多くの写真屋さんを比較してどこで現像してもらうかを決めかねていた。

そんな時、ポパイカメラではUSBにデータ化した写真を入れてもらえることを知り、ブログやInstagramでも写真を共有することを前提にしていた私は即決した、という経緯がある。

いざ現像に出す時には、緩衝材で包んだフィルム、データを入れてもらう専用のUSB、メンバーズカードの三点をレターパックに入れて送る。(「写ルンです」のような使い捨てカメラも35mmフィルムと同じ料金で現像してもらえる。)

担当者にもよるが、丁寧な方だとこのような写真とともに「無事に届いていますよ」と連絡をくれるのが嬉しい。

届いてから大体3~4週間ほどで現像が完了し、戻ってくる。その時、手書きの小さなメッセージが欠かさず一緒に入っていて心温まる。

フィルム1本を現像に出してかかる料金はこのくらい。

現像(35mmフィルム、メンバーズカードVol.2の場合)¥500
データ化(1535×2279 pixelの場合)¥800
インデックス¥150
送料¥350
合計(税込)¥1800
(2024年1月時点)

メンバーズカードのレベルによって現像すればするほど安くなる仕組みで、私は現在Vol.2。GOLDメンバーズ(Vol.6)になるとなんと現像料金は1本¥390!そんなに安くなるところはなかなかないのではないだろうか…

いつどんな写真を撮ったのか忘れてしまうため、毎回インデックスを一緒にもらい、その裏面に使ったフィルムを記載してコレクションしている。

そして現像済みフィルムはポパイカメラオリジナルのネガファイルに収納。

現像時にこのネガファイルにしまうための穴を開けてもらう「ネガファイル仕上げ」でお願いすることもできる。

オンラインショップではこれらの素敵なオリジナルのグッズも多く、現像のついでに利用している。デザインの良さは然ることながら、機能性の高い商品が多いのでおすすめ。

プリント

祖父が亡くなって、葬式で流す写真を探した。箪笥の中にしまわれた、ほこりまみれの写真の数々。

何十年も前の写真がよくも綺麗に残っているものだ。

若いころの祖父の写真を漁りながら「ああ、プリントした写真っていいなあ」と心から思ったのを覚えている。

その時から、写真をプリントしてファイリングするようになった。

フィルムカメラで撮った写真は必ずしもすべてプリントしたいと思うものではないため、現像と同時にプリントしてもらうサービスは利用していない。

USBに入って帰ってきたデータをパソコン画面で大きく見ながら、これはプリントしたいなあ、というものをピックアップ。選んだ写真はFUJIFILMプリントサービスを利用してLサイズ1枚¥46でプリントしている。

プリントされた写真はポパイカメラのシンプルなアルバムに収納。55枚入り、窓がついているのが気に入っている。

毎日開くものでもないが、本棚にアルバムを入れておき時々パラパラと開いてその時の情景を思い出している。枚数が限られている中で撮影した写真たちは、デジタルカメラやスマートフォンで気軽に撮影したものとは違い、その一枚を撮影した情景が容易に脳裏に浮かんでくる。

一枚に集中して撮った写真は、撮るという行為そのもの、その時の光景、心情をも包含し得る。それは何度も撮り直しのきく撮り方とはまた違った楽しみだと感じている。

もはや、意図したように撮れたかどうかは二の次で、たとえピントが全く合っていなかったとしてもその写真を愛でたいと思うほどだ。

フィルムカメラを始めるまでは「いかに“うまく”撮るか。“綺麗な”写真が撮れるか。」と自問しながらデジタルカメラで撮っていた。それはそれで楽しい行為なのだが、時に何度もやり直しているうちに写真を撮る意味や想いを忘れてしまっていたと気づく。

私は少々消費的に、思い通りの写真を撮り、満足するという行為を繰り返していたと思わされる。撮りたいという気持ちや撮る行為そのものへの感情よりも、どんな写真が撮れたかということに無意識に焦点が当たるからだろうか。

「現像するまでわからない」という不便さが我々に与える利点に改めて気づくこの頃。

撮り直しができない、現像するのに時間がかかる、フィルム代や現像代がかかる。それでもなお、撮る度に感じるフィルムの魅力を、これからも発見していきたいと思う。

写真は @yuripluslife で共有中。よろしければそちらも併せてご覧ください。

2024-01-25|タグ:
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