「わたしらしい暮らしの中の菜園」を目指しながら4月から始めた菜園も、少しずつ栽培する場所を増やし、ようやく形になりつつある。
春に植えたミニトマトやピーマン、シシトウ、そして食用ホオズキなどは元気よく育っていて、収穫しては楽しんでいる。
一方壊滅的な結果の栽培植物もあり、キャベツはほぼ全滅といっていいくらいの不作で(15株植えて小さなキャベツが3つ収穫できただけだった)、一列植えたはずのニンジンは二つしか出芽してこなかった。
せっかく育てるなら収穫したいという気持ちもなくはないが、生ってくれたら嬉しい、失敗したら学ぶことが多い、くらいの付き合い方をしている。育てた結果以上に、育てる過程、虫の流れや畑全体の変化を観察していることが何より興味深いのだ。
さて、今回も前回に続いて少しピッピのもり記録を書いてみようか。
夏の野菜
8月31日、8月ももうおしまいかと思ったとき、ふと菜園の写真をしばらく撮っていなかったことに気づいた。
すぐにカメラを抱えて外に出、いくつか写真を撮っていった。ここに紹介する写真は8月31日の雨上がりの朝に撮った写真である。
去年種をとっておいたミニトマトは、野生種でかなり強いということは聞いていたものの、その勢いに圧倒されるくらい盛んに枝を伸ばし、花をつけ、実をつけている。
5株植えた株同士がお互いの枝を支えとしながら、もうどこからどこへ枝が伸びているのかわからないほどだ。
このトマトは甘味というよりはしっかりと酸味があり、(野菜にこの表現はどうかと思うが)味の濃いトマトだと感じる。菜園で作業する時には収穫ついでにポンと口の中に入れて水分補給にもなるから良い。
こちらは食用ホオズキ、ストロベリートマトともいう。ストロベリー?トマト?となるから食用ホオズキと呼んでいる。
日のあまり当たらない場所でも勢いがよく、毎日ぽろぽろと熟した実が落ちているのを拾う。
お盆にはこの小さなホオズキでお飾りも作った。
このフォルムと、甘い香りがたまらない。
その香りを嗅ぎつけてアリたちが定期的に遊びに来る。収穫の時はアリを連れて帰らないように注意している。
イタリアンナスは、春に種を蒔いたのだが、いつになったら定植できるのだろうか、と心配になるくらい初期の成長がかなり遅かった。育苗のためのハウスの必要性を感じた。
この時点で花はいくつかつけているがまだ実はできていない。
「世界一おいしいナス」と称されるというヴィオレッタ・ディ・フィレンツェというイタリアンナス。収穫できたかどうかは次のポタジェ記録で報告しよう。
ナス科野菜の葉っぱをおいしそうに食べているのがニジュウヤホシテントウ。放置すると葉っぱが全部食べられてしまうから、気づいたら捕殺するようにしている。
うちにくるテントウというとこのニジュウヤホシテントウが多くて、見つけたら取る、というのが習慣になっているらしい。アブラムシの幼虫を食べていたナナホシテントウにも無意識のうちに手を伸ばそうとしていた。
取る前にホシの数が少ないことに気づいてよかった。無駄に虫を殺したくないもの。
ピーマンは、根疲れしているのか、先のとがったものが時々生る。そのほかぐにょっと曲がったものや、やけに細長いものもよく生る。
スーパーに並ぶような規格通りに栽培するって相当すごいことだと常々思う。
ピーマンの食べ方で美味しいのはお浸し。
さっとゆでてお醤油とかつお節で。シンプルが一番おいしい。
カボチャはコンポストから芽を出したカボチャをひとつ収穫した。
そして種を取っておいたバターナッツカボチャは4株植えて今のところ4つ実ができている。このフォルムがなんともいえない。2株は枯らしてしまったから残りの2株であといくつか収穫したいところだ。
幼いころからカボチャが大好きな私。保育園時代の将来の夢は、お菓子屋さんでもなく、お花屋さんでもなく、「カボチャをつくるおばさん」になることだった。
おばさんになるのはもう少し時間が必要かもしれないが(笑)、20年近く経って実現したよ、小さい私よ。
余談だが、パートナーは小さいころキャベツが好きだったらしい。「好きな食べ物は?」と聞かれて周りが「焼肉!」とか答えているのに「キャベツ」と答えるあたり、どこか二人は通ずる部分がある。
夏の作業に欠かせないもの
外で作業するのは、気持ちいいが、同時に体力も消耗する。
5月の田植えを境に、米の消費が増え、体重が減った。
食べる量が増えたとはいえ暑ければ多少食欲も落ちるし、とにかくたくさん食べればよい、ということでもない。
そんな夏の作業に欠かせない、おいしいものがある。
それは紫蘇ジュースとカリカリ梅、梅酢だ。
紫蘇ジュースは紫蘇風味の甘酸っぱいドリンク。
こんなにおいしいとは思っていなかったのだが、たくさんある紫蘇をどうにかおいしく使えないかと思ってジュースにしてみたのが当たりだった。
カリカリ梅はカリカリとした甘い梅で、紫蘇風味のおやつ。
梅は近所の農家さんのもの。きび砂糖のコクがいい感じ。
実は、これは農に興味を持つ前から好きだったおやつだった。でも自分で作ったのは今年が初めてで、おいしくできて嬉しい。
梅酢は酸っぱくしょっぱい梅風味のドリンク。
以前、農家は梅干しをつくる時にできる梅酢を飲むんだよ、と言っているのを聞いた。
その時はそうなんだ、としか思わなかったけれど、いざ梅や紫蘇のドリンクが体に染み渡るのを体験すると、その偉大さを感じる。
そんなこんな、梅や紫蘇と乗り越えた夏。
乗り越える、といっても夏生まれの私は夏が好きだ。
夏の野菜、夏の祭り、夏の雲、夏の空の色、夏の匂い。
今年の夏は、初めて運転した夏で、初めてトマトを種から育てた夏で、初めて田んぼの水を抜いた夏だった。
楽しい夏をありがとう。
来年の夏はどんな夏を過ごせるのだろうか。
(つづく)
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