なんでも愛でる計画 ~豊かなプランターづくりへの道~

菜園ではいろいろな植物が生えてくる。

我々は時にそれらを「雑草」と呼び、栽培植物と区別することがあるが、区別したところで不要かというとそういうわけでもない。

伸びすぎた草を刈ってマルチングしたり、草によって保水されていたりする。草が生えていることによって土が豊かになっていることが分かる。虫は栽培植物よりも「雑草」を好んで食べることだってある。

いろんな植物が存在しているというのは、とっても豊かなこと。

雑草一つない菜園よりも、様々な植物が共存している様を「美しい」と思うようになっていた。

「ピッピのもり」のスパイラルハーブ菜園エリア

なんでも愛でてしまおう

仕事のために菜園のある実家を離れ、プランターで植物を栽培するようになった頃、ふと思ったことがある。

小さな「ベランダのプランター」という世界でもその豊かさは再現できるのではないか。

むやみに耕さない、むやみに草を抜かない、むやみに肥料をあげない。

多様な生きものがいる菜園の環境を完全に再現することはできなくとも、菜園と同じように植物を栽培してみたらどうか。

そこで始まったのが「なんでも愛でる計画」。

自分で植えたものと同じくらい、出てきた芽を愛でる。

自分で植えた植物でなくても、どんな花をつけるのかな、と楽しみにする。

栽培植物が負けてしまいそうなくらい、大きく成長してきたら、ほんの少しだけ手を加える。

「失礼します」とその葉を切り取り、「ありがとう」とそっと土の上に寝かせる。

手をかけすぎず、ただ愛でる。簡単そうで案外難しい。

人間というのは勝手なもので、今でも無意識のうちに「雑草」を抜いていることがある。

だからこの計画の一番のポイントは、すべての植物を「プランターのメンバー」として認識するということ。

変化が訪れる

「なんでも愛でる」と心に決めて少し経った頃、プランターにも変化が訪れた。

時々苗を植えるために土を掘り起こすと、中には小さな生きものが動いているのが分かるくらいになった。

まるで野草と同じように、種を蒔いていなくても一年草のハーブが芽を出してくるようになった。

コリアンダー、チャービル、三色スミレ。

いつの間にか生えてきて、いつの間にか成長し、いつの間にか花をつけ種をつける。

その種が土に落ち、また頃合いを見て好きな時に芽が出てくる。

種を蒔いていないはずのプランターからも生えてくる。

風に揺られて好きな場所から生えてくる。

弱ければいつの間にか芽が枯れている時もあるし、逆にこれでもかというくらい密集して育つこともある。

「育てたい」と思って肥料を与えることはなく、土の健康を保つことに注力する。

そうやっていつの間にか、菜園と同じではなくとも、プランターなりの「豊かな環境」になってきた気がする。

植えたばかりの三色スミレ。「ピッピのもり」で咲いていたものを移植した。

なんでも愛でるための戦法

「なんでも愛でる計画」は「ただ愛でる」以外にも大切にしていることがある。

まず、核となる多年生植物をそれぞれのプランターに植えること。

それによって頻繁に栽培植物の苗を植え替える必要がなくなり、常に根をきちんと張っていてくれるため土の環境が整う。

現在植えてある多年草は…

ハーブは、ローズマリー、オーデコロンミント、フレンチタラゴン、ラベンダー、オレガノ、チャイブ、ラベンダー。

そのほか気に入って植えてあるのは、ローズドメイカーネーションやロックソープワートといった園芸種の植物。

それらの植物を、栽培環境が似ているものを合わせて植える。

ローズマリーとオレガノは同じプランターでもいいが、ミントとゼラニウムは別のプランターに植える、といった要領。

狭いベランダであっても日の当たり方にはばらつきがあるため、日向や乾燥を好むものと日陰や湿気を好むものとでプランターの配置にも工夫を凝らす。

プランターごとの植物の特性に合わせて、水をやる頻度や量も調整するようにしている。

あとは、適切なタイミングで剪定すること。メンテナンスは忘れずに。

賃貸のベランダ。既に砂利が敷かれていたため、そこへ直接プランターを置いた。軒下で栽培したこともあるが、雨水のあたる場所で栽培した方が植物は生き生きとしている気がする。

気軽にできるプランターだからこそ

容器に培養土を入れ、植物苗を植える。

気軽にできるプランター栽培も、プランターを選ぶところから、土づくり、植物の相性や植える場所、プランターの置き方、水や肥料の与え方、草との向き合いかた…

細部までこだわればこだわるほど、面白さが増大する。

私自身は、プランターは土を入れて移動する際に重すぎると困るため、素材はプラスティックを選んでいる。100%リサイクルプラスティックでできているものを好んで使っている。

また、土は既に肥料の入った培養土を購入することもできるが、自分で鹿沼土や赤土、腐葉土やもみ殻燻炭などを混ぜ合わせて土づくりから始めると楽しい。

種や苗を植えることの多い春。少々豊かになってきたプランター事情を共有してみようと思った。

2024-03-17|タグ:
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