「今日行ったレストランAとレストランB、どちらがもう一度行きたいと思った?」
きっかけは同じような価格帯のフランス料理系レストランを比較していた時のこと。
「料理だけで言えば、Aかなあ。Bは肉を多く使っていてボリュームが多く、野菜好きにとってはAの方が体になじむ感じがした。」
「僕はBかなあ。料理は甲乙つけがたいけど、サービスは圧倒的にBの方がよかった。」
「確かに、Bはサービスをしている人たちの言葉選びが素敵だったよね。サービスされて気持ちよかった。」
「何よりさあ」彼の口から出てきた言葉にハッとした。
「ワインはね、Bの方が予想できない感じが楽しかったんだよなあ。Aは、そうだよね、これにはこれを合わせると美味しいよね、っていうのが想像できる感じ。間違いはないんだけどね、それだけだとつまらないというか。」
なるほど。確かにそうかもしれない。
その日の朝は事故で電車が遅れ、寒い中駅のホームで長いこと待たされた。予期せぬことが起こると、人は焦り、少し怒りを覚えるものだと思ったばかりだった。
レストランでは、容易に想像できるものよりも、予期せぬものが提供された方が楽しいと思った。
状況によって、同じ「予期できないこと」への反応がこうも変わるのかと気づかされる。
日々訪れる「予期せぬこと」。
時に恐怖を覚え、焦りや怒りを覚える。そして時には、稀かもしれないが、楽しい驚きをもたらすこともある。
「予期せぬ」の多面性と人間の感じ方の自由さに気づいた一日だった。
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