2021年3月、「はざま」を表したショコラたち

3月のあたま、2月に引き続きボンボンショコラを制作しよう、と決めました。

前回の企画を経て、「次に企画する時には声をかけてください」というメッセージを多数いただいたことが何よりの励みになり、そしていざ「つくるぞ」と思うと、やはり作りたいもののイメージが明確になってしまって、これはつくらねばならない、という気持ちに自然となっていたのでした。

テーマは「はざま」

どんなショコラを作ろうかと、考え始めたら迷う暇もなく、テーマはいつの間にか決まっていました。

私の頭の中を言葉にすると、まず「終始」という言葉が真っ先に思い浮かんできました。終始、おわりとはじまり。私にとっての今年の3月は、おわりとはじまりがたくさんある月だなあ、と。第一に学生が終わり、社会人となる今年は、少し特別な想いで迎えているのです。

そして単純に、季節の変わり目というのは不安定になりやすい。でもそれは決してネガティブでなくて、不安定になりやすいからこそ、この心は表現してみたい、という気持ちになりました。

そんな風に想像を膨らませていったら、3月が季節の変わり目を感じられるとき、寒さと温かさの「はざま」であり、異なる年度の「はざま」であり、そして私自身は学生と社会人の「はざま」であるという、あらゆる「はざま」が見えてきて、今回のテーマへと辿り着いたのでした。

一粒一粒の味

今回の6種類のボンボンショコラ。シンプルに、でも2月の時よりも華やかな印象にしたいな、と思ったのは、外に出るたびに見つける、美しい野花が目に留まる回数が、温かくなるにつれて増えていっているからでしょうか。

ショコラボックスの中に入れた説明書きは、3行だけと決めて短く書きました。

ここではもう少し詳しく、使った材料などにも焦点を当ててショコラについて書いてみようと思います。

今回のブログには、あえて飲み物のペアリングは記載しません。お水や白湯、香りのあまり強くないハーブティー、軽めのコーヒーなど、チョコレートの香りを邪魔しない、気分に合ったお飲み物を片手に楽しんでいただけたら嬉しいです。

Citron

静岡県の飯塚園さんから購入したオーガニックのレモンを使ったボンボンショコラ。皮も果汁も使って、レモンの香りを付けました。

ガナッシュはミルクチョコレートで甘く、コーティングはスイートチョコレートでバランスをとって。

3月8日はミモザの日(国際女性デー)でした。3月に入ると、きいろいものをよく目にするなあ、と思います。きいろい果物、いろいろありますが、真っ先に思いついたのはレモンでした。

今回使ったレモンは大きくって立派で、真っ黄色で。無選別なので大きさはバラバラ、傷もありますが、丁寧に栽培されたのだろうと思うと、ボンボンショコラとしてそのレモンを生かしたいな、という気持ちが強くなりました。

地球と人間にやさしい農業とはなにか、ということを考えている農家さんを知るたびに、私は元気づけられ、応援したくなるのです。そんな農家さんが人と食の未来を一番考えているように思うからこそ、そんな農作物を使った作品も制作したいな、と考えています。

Matcha

ひと箱に緑を組み込みたい、という気持ちから思いついたのは、定番の抹茶のボンボンショコラ。個人的に抹茶とチョコレートはとっても相性がいいと思っています。

どんなチョコレートでもいいのか、というとそういうことでもなく、バニラの香料が入っていない(またはバニラの香りが極めて弱い)ホワイトチョコレートとの相性が好きです。

実際、ダークチョコレートやミルクチョコレート、バニラ強めのホワイトチョコレートと合わせたこともありましたが、結局バニラ感のないホワイトチョコレートと合わせ、これでもか、というくらいの抹茶を加えて苦味を出すというのが、今のところ好きな組み合わせとなっています。

それに、真っ白なホワイトに抹茶を加えたとき、そのショコラはどうしてそんなにきれいな色になるのか、と問いたいくらい、いい色をするのです。

私自身、自然が好きということが高じて、緑という色そのものが大好きです。でもその緑の中でも、まさにこの緑のような、深い落ち着いた緑が好きなのです。チョコレートで好きな色を表現できるなんて、これほど嬉しいことはないかもしれないと思いながら、今回の緑の一粒も仕上げました。

Chaï

フランス語でチャイと発音するためにはiの上に ¨(トレマ)が必要だな、と勝手に考えてChaïと表記しましたが、Chaiのままでよかったようです。でもトレマがあると、目がついたようになってなんとなくかわいい(?)のでつけたままにします。

前回のチャイとはまた違った、癒し系のチャイ。というのもベースをルイボスティーにしているのです。ルイボスの香りは、最近好きだなあ、と思うようになり、ゆったりしたいときに淹れることが多く、穏やかな時間の一部、という意味を込めてルイボスを使いました。

ルイボスはバーゲンダルの有機ルイボスティーを、スパイスはカルダモンとクローブ、ブラックペッパーを使用しています。

ミルクチョコレートを使ったガナッシュはまったりと甘く、ミルクと相性の良いルイボスがスパイスと混ざり合わさって口の中に広がってきます。単に甘くておいしいだけではつまらないので、コーティングはスイートチョコレートにしてバランスを取ろうと試みました。

Orange

スイートチョコレートとネーブルオレンジの組み合わせ。オレンジは前回のオランジェットと同じ、あおとくるさんのものです。

オレンジはレモンほど苦味がないので、ダークチョコレートを使って。外はカカオ70%、中はカカオ56%のチョコレートを使っています。レモンはミルクチョコレートで甘く仕上げたいのに、オレンジはダークと合わせたい、という感覚になるのが私の味覚のようです。

オレンジはコンフィを加えているので食感も少し感じられるはず。後味にスッと感じるのはオレンジリキュール(グラン・マルニエ)を加えているからです。

モールド(型)を使ったボンボンショコラは、こうやってお酒をちょっぴり加えるのが好きなのです。でも気づかれなくてもいいくらい、お酒が主役にならないように気を付けています。得意不得意、あるとも思うので。それに、お酒をメインにするならガツンとお酒をきかせて、日本酒アソートとか、ウィスキーアソートとか、ワインアソートとか…そういうことをしたいなあと想像しています。

そういえば、いつかのバンクーバー滞在中、ホストファミリーのためにいろいろお菓子作りをしましたが、ワインのボンボンショコラを作ったらお酒好きのママからいっぱいハグされたのを覚えています。

Earl Gray

アールグレイのボンボンショコラは、春のショコラ、として真っ先に思いついたものでした。

ベルガモットの華やかでさわやかな香りがふわんと香る、全体をカカオ56%のスイートチョコレートで仕上げた一粒。茶葉はHAMPSTEAD TEAの有機アールグレイを使っています。

カカオと柑橘の香りという組み合わせは、今回のボックスにはCitron、Orange、そしてEarl Grayがありますが、その中でもこの一粒はさわやかさの中の華やかさを演出したつもりです。転写シートのピンク色も、この季節らしくて結構気に入っています。

そういえば、パートナーが紅茶好きで、アールグレイが一番好きだったということを知ったのは、このボンボンショコラを味見してもらったときのこと。その時は夕飯後、温かい韃靼そば茶を淹れて、キャンドルの光だけでこのボンボンショコラをゆっくり食べました。ちなみに私もアールグレイが紅茶のなかでも大好きです。

Praline

ヘーゼルナッツプラリネのミルクチョコレートの層とシナモンのスイートチョコレートの層の二層仕立て。

プラリネはやっぱり甘いミルクチョコレートと合わせたくなります。でもそれだけではまとまりが弱いので、プラリネの層の上にシナモンの香りのダークチョコレートの層を重ねています。

シナモンロールもシナモンをふんだんに使ったチャイも。シナモンの甘くスパイシーな香りは、思わず深呼吸してしまうくらい、心地よく、それでいてほんのりロマンチックな香りのように思います。

少し甘いものでゆっくりしたい時間にちょうどいい一粒を目指したので、鎮静効果のあるハーブティーでも淹れて、時間の流れをのんびりと感じながら食べていただけたらより楽しいかもしれません。

ここまで6種類、一粒一粒を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。

味見役にご応募いただいた方は、何か感じること、感想等ありましたらぜひ、味見していない方でも何かご意見等がありましたら、SNSでもCONTACTからでもメッセージいただけたら、とっても嬉しいです。

それでは。

素敵なショコラタイムを。

Yuriko

2021-03-16|タグ:
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コメント2件

  • 藤嶋典子 より:

    野沢佑理子さま

    こんにちは。
    先日は味見役楽しませて頂きました。

    チョコレート一粒一粒にストーリーがあり、丁寧に作られていることが伝わってくるようでした。
    説明書きやお手紙、この味見役というアイディアも全てに心がこもっていて大事に味わいました。

    日々お菓子と向き合っていますが、佑理子さんチョコレートが良い刺激となって私ももっと楽しんで行けそうです。

    佑理子さんのこれからの活動も楽しみにしています。

    • Yuriko より:

      藤嶋様

      コメントいただきありがとうございます。
      日ごろからお菓子と向き合っていらっしゃる藤嶋様に味見役になっていただき、また「刺激」とまで嬉しいお言葉に励まされました。

      今回のご縁に感謝して。
      佑理子

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