フランス語だとシュークルート、ドイツ語だとザワークラウト。
それは、塩を使って発酵させたキャベツ。
フランスにいた時においしい手づくりのシュークルートに出会った。それがおいしくておいしくて…
自分でも作りたいなあと思ったのがきっかけで、作るようになった。
幼いころから漬物が大好きな私は、一人暮らしの家でも毎日何かしらの漬物を食べている。同じ野菜でも農家さんによって仕上がり具合が違ったり、急にしょっぱくなったり…つくづく漬物は面白いなあと思う。
そんな漬物好きの私は、異国の地でもその魅力にハマってしまったのだ。
材料はとてもシンプルで、工程も簡単だから思い立ったらすぐにできる。
唯一大変なことがあるとしたら、仕込んでから少なくとも2週間は待たなければいけないことでだろうか。
フランスで何度か作ったが、待てずに発酵しきる前に食べてしまうことも(笑)。
味見したくなる気持ちを抑えて、2週間以上待つのがコツ。そうすると酸味のある、しんなりとした美味しいシュークルートを作ることができる。
塩だけでここまで美味しくなるのか、といつも感心するほど。発酵って面白い。
今回はそのシュークルートの作り方を手順と工程の写真とともにご紹介する。
野菜の発酵の工程としては、野菜を塩漬けし、発酵させる、という流れだ。
レシピ
【材料】1Lの瓶一瓶分目安
- キャベツ 800g~900g(100%)
- 塩 8g~9g:小さじ2弱(1~2%)
- スパイスはお好みで。なくても作れる。(クミンシードやフェンネルシード、ディルシード、マスタードシードなど)
※キャベツの重さの1~2%の塩、という風に覚えておくと便利。 夏は少し塩の量を増やしたり、気分によっていろいろな塩加減で作ってみると楽しい。
※シュークルートには、ジュニパーベリーやキャラウェイシードなどを加えることが多いのだそう。また、リンゴやクランベリーなどのフルーツを加えることも。
※塩は、水分を吸収しやすいため、粗目の塩を使うことが良いともいわれている。また、ミネラル分がたくさん含まれている天日塩は、お漬物に使うとおいしい。
※キャベツは様々な種類があるが、いわゆる春キャベツ、生で食べるとおいしい柔らかい品種のキャベツは特に、シュークルートにするとたまらない。グリーンボールという種類の丸いキャベツがあり、それで作るシュークルートも格別。
【作り方】
1.キャベツを千切りにする。(キャベツスライサーを使うと、薄くスライスできるのでおすすめ。最近はこれがお気に入り。)
2.ボウルにキャベツを入れ、塩を加えて手で混ぜる。2分ほど経つとしんなりしてくる。一つかみとって力を入れた時に水分がぽたぽた垂れるくらいまでしんなりしたらOK。
3.お好みのスパイスを加えて混ぜる。
4.瓶に空気を抜きながらキャベツを入れる。ぎゅっと手で押しながら入れるとやりやすい。キャベツから出た汁もすべて入れてOK。
5.ふたの部分や瓶の口をきれいにしてふたを閉める。水分などがついたらふき取った方がいい。
6.常温で短くても2週間おく。途中水分が上にあがってきたり、瓶を開けるとプシュッと音がしたりする。
途中で蓋を開けて酸素を取り込む必要はない。色は写真のようにどんどん黄色っぽくなっていく。すごい。
これは同じ農家さんの同じ種類のキャベツを使って、1週間半差で作ったもの。左が1週間半たったもの。体積の差は単にキャベツの量が違うから。左は750g、右は950g。
キャベツにもよるが、1ℓの瓶だと大体900gから950gくらいがマックスの量。入れすぎると発酵途中であふれてくるので注意。
作った日をメモしておくとわかりやすいのでおすすめ。2週間以上待つためにも(笑)。
おいしくできたシュークルート
酸味がでて、深みのあるキャベツはどんなサイドディッシュにも合うから、作っておくと重宝するというのも嬉しいポイントだ。
はじめのうちはお酢を使っていないのにかなり酸っぱくなるこのシュークルートが不思議で仕方なかった。
調べてみたら、そこには菌たちの競争があるという。
野菜についている野生の乳酸菌は好塩性(耐塩性)で嫌気性。その野生の乳酸菌は糖類を食べて増殖し、同時に競争相手を毒殺するために乳酸を作るのだそう。
競争相手を殺すために乳酸を作っているのに、酸性にしすぎて自分が棲めなくなる環境になってしまう…そして違う乳酸菌が増え、というように移り変わっていくという。
最終的にはラクトバチルス・プランタラムなどの乳酸菌が棲息し、強酸性になる。
これが酸味の正体、というわけだ。
ここまでいくと、常温でも腐らない、酸っぱくておいしいシュークルートになっている。
お新香的な位置づけでポリポリ食べたり、ちょっとサラダに加えたりするのもおいしい。
ちょっとオリーブオイルをかけると、まろやかになってそれも美味。また、スパイスカレーを作った日なんかには、最高の組み合わせとなる。
そのほか、サンドイッチに入れるのも気に入っている。
この時はクリームチーズをぬったカンパーニュにシュークルートをのせ、その上に塩レモンとオリーブを散らし、オリーブオイル、ブラックペッパーをさっとかけて食べた。
常温で発酵させ、常温で保存しても腐らない、それも発酵の面白いところだなあと思う。
常温で野菜を長期間置くことをためらわないことも、おいしいシュークルートを作るには必要だ。(夏は一度開けて食べ始めたら冷蔵庫で保存している。)
2週間で酸味等が出てきてすでにおいしいが、2か月くらい待って味が複雑化しているのを食べると、クセになる。
日を追うごとに味が変わっていくシュークルートは、本当に楽しく、おいしい。
ぜひお試しあれ~
それでは、ボンナペティ!
参考文献
Michael Pollan (2014) COOKED『人間は料理をする・下』
Sandor Ellix Katz (2016) The Art of Fermentation『発酵の技法』
いやね、本当に、ゆりちゃんの文章いい。
とっても。
なのに蓋開けちゃった。開けたく、なっちゃうね。
けど毎日見てて飽きないや
発酵って面白いね