畠山大輝さんのことを知ったのは、前職のレストランにお客様としていらっしゃった時のこと。
「コーヒー屋さんをしている」と、そうおっしゃる彼のコーヒーを飲んでみたいと思ったのは、コーヒーが好きだからだけでなく、彼の素敵な人柄が短い会話の中から垣間見れたからかもしれない。
その後すぐに畠山さんが毎月焙煎して届けてくださる「イノベーティブ・ブレンド定期便」に申し込んだ。
高校生の頃からコーヒーを飲み始め、シングルオリジンばかり飲んでいた私は「こういう感じのコーヒーが好き」という好みがある程度はっきりしている。だからブレンドのサブスクリプションと聞いて、それをどれほど自分が楽しめるのか、というアドベンチャーでもあった。
目次
コーヒー定期便という新しさ
畠山さんのコンセプトがとても魅力的だ。
コーヒーのブレンドを「味を編むようにブレンドする」と表現する。またブレンドすることを前提として豆を買い付けるというプロセスも興味深い。
シングルオリジン(単一農園)の持つ様々な個性や味、香りの糸を編み込んで、ひとつのコーヒーに仕上げます。単に組み合わせるだけでなく、味を編む、味を組み立てていくようなイメージです。それぞれの個性は感じるのに、何かが突出していない、バランスの中にきらめく個性があるような。そんなブレンドを目指しています。
Bespoke Coffee Roasters イノベーティブ・ブレンド
それまでは自分で飲みたいコーヒーを選ぶだけであったが、お任せで届くというのは驚きとワクワク感がある。今や新しい月になるとそろそろ届くかな、と楽しみにしている自分がいる。
五月「水菓茶」
2024年の1月から毎月ポストにコーヒー豆が届くようになり、5月で5回目。
今月は「水菓茶(すいかちゃ)」と書かれていた。
内容的には、①グアテマラ(ウォッシュド)、エチオピア(②アナエロビックナチュラル・③ナチュラル・④ウォッシュド)、⑤ケニア(ウォッシュド)、⑥ボリビア(アナエロビックナチュラル)が
①2:②1.5:③1:④1:⑤1:⑥1 の比率で配合されているとのこと。
コメントにはフローラル、オレンジ、ストロベリー、ブルーベリー、ブラウンシュガー、キャラメル、蜂蜜、ブラックティーと書かれていた。
私は豆の袋を開けた時にいちごミルクのような、いちごと牛乳をミキサーで攪拌した時のフレーバーを感じた。淹れるとまずはやっぱりいちご感、その後ブルーベリー的なベリー感、そして冷めると紅茶感。
コメントを見る前に、とりあえず淹れて自分の感覚でフレーバーを感じる。それから答え合わせするようにコメントを聞くとより楽しい。
コーヒー豆として「表現」されたものをいただくために、いかにマインドフルに楽しめるか。ブレンドの奥深さを実感している。
エピソードと共に愉しむのもまた
畠山さんはInstagramやYouTubeのライブ配信でその月のイノベーティブ・ブレンドについて語る。
今回の場合は「4月に台湾の催事に参加した際、現地で飲んだフルーツティー(お茶にフルーツが入っているもの)が美味しかったから、それをコーヒーで表現してみたくなった」そうだ。
「水菓茶」と名付けられたコーヒー豆に、畠山さんの台湾での出来事のエピソードが加わってよりイメージが立体的になる。
焙煎の知識がなくても「火が入りやすいアナエロビックとそうでないケニアやグアテマラは浅めに仕上がっていて、それでバランスを取っている」と聞くだけで、生豆からローストされた状態になるコーヒー豆が頭に浮かぶ。
そうやって、届いた茶色い豆を眺め、燈褐色の液体を嗜みながら想いを馳せるのがまた、幸せな時間だと思う。
「自分が飲みたいものを作る」
「その時に飲みたいものを作る。そのために事前にあまり決めすぎずにリアリティが出るようにしている。」
畠山さんはそう言い、ライブ配信でとにかく美味しそうに自分で焙煎したコーヒーを淹れて飲む。
「素晴らしいブレンドを生み出してしまった。今宵もまた。」
生み出す人の言葉。
畠山さんのブレンドは季節感がある。それがまた嬉しい。
例えば先月4月のブレンドは「Fresh & Fragrance Blend」と名付けられていた。
春の様相を呈してきて、いよいよ新学期、新生活、新年度を迎える季節になってきましたね!
今回はそんな季節にふさわしく、新鮮なフルーツなどを思わせるフレグランスを感じていただけます。
スッキリ、シャキッとした気持ちで毎日を過ごせるように、応援の気持ちを込めて作りました。略して「フレフレブレンド」…!!
言葉遊びも加わって、なんて楽しいのでしょう。
今回のブレンドがかなり好みだったのと、記念すべき5回目の定期便ということで綴ることにした。
次はどんなお豆が届くだろう。楽しみに待ちたい。
コメントを残す